とある日の父
とある日、実家の前の空き地にぽつんと立っている父を見つけた。
何をしているのかなと、遠くから様子を見ていたのだけれど、
どうやら、ぼんやり空を眺めているだけのようだった。
ぼくは、ふと父が何を考えているのか知りたいと思い、そっと心の中に入り一緒に空を眺めてみた。
すると・・・・・・・・青い空に白い雲が、おもむくままにゆっくりと流れていた。
ただただ、現れては消えてゆくだけ。
そして、一つわかった。
「そっか、あの雲はオレの中を通り抜けていく様々な想いなんだね」
「そうだ、そして空はお前だ」
美ヶ原高原にて
青い空に白い雲・・・。これは、ぼくの原風景でもある。
小学生の頃、父に連れられ眺めた風景。
青い空に白い雲。草原の山々を、風にまかせて流れ行く景色。
「そうか、オレは昔からオヤジにこのことを教わっていたんだね」
きっと、父はそんなこと思っていないだろうけれど。
たぶん、そんな気がするのだ。